例年春の訪れとともに、お子さんの入学シーズンを迎えるご家庭も多いのではないでしょうか。
筆者が先日まで勤めた会社で、同じ部署（人事・総務部）に10年以上一緒に働いてた女性がいます。彼女は、筆者が在職中に妊娠、産前休、出産、産後休、職場復帰を果たし、この春お子様が小学校に入学されました。
彼女は旦那さんと共働きで、家族3人、ついに「小1の壁」に向き合うこととなりました。
私はずっと同じ職場（一応上司）だったこともあり、保育園の送り迎えになど関しては、最大限サポートしてきたつもりです。
お子様の入学、通学の準備などでここ最近は仕事との両立で眠れない日々を過ごしているようです。そういえば、1年ほど前からランドセルをどうしようか考えていた事を思い出します。
そんな中、世の中で彼女のように働くママが直面する「小1の壁」について考えてみたいと思います。
小1の壁とは何か？まずは理解しておくことが大切
「小1の壁」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、子どもが小学校に入学することで生じる生活環境の大きな変化によって、特に働く親が仕事と育児の両立に困難を感じる現象を指します。保育園と違い、小学校は授業終了時間が早く、学童保育に入れなかったり、夏休みなどの長期休暇の対応が難しかったりと、様々な課題が一気に押し寄せてくるのです。
厚生労働省の調査によれば、子どもの小学校入学を機に約4割の母親が仕事の仕方を変えざるを得ない状況になっているようです。
この「小1の壁」は多くの家庭がリアルに直面する現実です。
小1の壁による退職の割合と現状分析
調査データによると、「小1の壁」を理由に退職または時短・パートへの転換を余儀なくされる母親の割合は決して少なくありません。子育て世代の女性の就業継続に関する調査では、子どもの小学校入学を機に約25%の母親が退職を選択し、さらに15%が時短勤務やパートタイムへの転換を行っているというデータがあります。
この退職率は地域や職種によって差があり、特に都市部でのフルタイム勤務者では高い傾向にあります。これは学童保育の受け入れ制限や長時間保育の環境が整っていないことが一因とされています。
フルタイム勤務の両立術
フルタイムで働き続けたいママにとって、小1の壁は大きなハードルです。しかし、事前の準備と工夫で乗り越えることは可能です。
まず、会社の制度を最大限活用しましょう。フレックスタイム制度や時短制度、テレワークなど、働き方を柔軟に調整できる制度があれば積極的に利用することをおすすめします。
また、学校周辺の環境を事前に調査することも重要です。後述しますが、学童保育の申込時期や条件、民間学童やアフタースクールの有無、さらには地域のファミリーサポートなど、放課後の過ごし方の選択肢を増やしておきましょう。
何よりも大切なのが、家族の協力体制です。パートナーとの家事・育児分担を見直し、祖父母などの協力が得られる場合は相談しておくことで、突発的な対応にも備えられます。
専業主婦の関係性
「小1の壁」と聞くと働くママの問題と思われがちですが、専業主婦の方にも影響があります。
子どもが小学生になると、保育園のようなケアがなくなり、教育面でのサポートや宿題のフォロー、学校行事への参加など、新たな役割が増えます。
また、「子どもが小学生になったから働きに出たい」と考える専業主婦の方も多いものの、下校時間の早さや長期休暇の問題から思うように働けないというジレンマも発生します。
専業主婦から復職を考える場合は、子どもの学校生活が安定してからパートタイムから始めるなど、段階的なアプローチが有効です。また、スキルアップのための学習期間として小学校低学年の時期を活用するという選択肢もあります。
「小1の壁」を理由に退職を考える前に、いくつかの選択肢を検討してみましょう。退職後に「やめなければよかった」と後悔するケースも少なくありません。
- 勤務形態の変更交渉：フルタイムからの時短勤務や在宅勤務の可能性
- 職場異動：通勤時間や残業が少ない部署への異動
- 転職：子育てに理解のある企業への転職
- 副業・フリーランス：スキルを活かした柔軟な働き方
特に注意したいのは、一度退職すると同条件での再就職が難しいという現実です。キャリアの中断によるスキルの陳腐化や収入減少、将来的な年金への影響も考慮して判断することが大切です。
「退職して後悔した」という声で多いのは、「子どもが高学年になって手が離れた時に、復職したくても希望の仕事が見つからなかった」というものです。短期的な視点だけでなく、5年後、10年後の自分のキャリアも見据えた選択をしましょう。
共働き家庭における小学校の放課後対策
共働き家庭にとって最大の課題となるのが「放課後をどう過ごすか」という問題です。
対策としては次のようなものがあります。共働き家庭の増加にともない、小学校の放課後をどう過ごすかは大切なテーマです。子どもたちが安全に、楽しく、充実した時間を過ごせるような放課後対策をまとめました。
学童保育（放課後児童クラブ）
✅️公立学童保育：費用は比較的安価ですが、人気の場所は抽選になることも
✅️民間学童・アフタースクール：習い事と学童機能を兼ねた施設も増加中
放課後に子どもたちを預かり、宿題をしたり、遊んだりできる場所。専門のスタッフが見守るので、保護者も安心です。ただし、地域によっては定員オーバーになることもあるため、早めの申し込みがポイント。
放課後子ども教室
地域のボランティアや指導員がスポーツ、工作、読み聞かせなど、さまざまな体験活動を提供。登録すれば誰でも参加しやすいのが特徴です。学童保育と組み合わせて利用する家庭も。
地域の見守り活動
通学路でのパトロールや、地域の大人たちによる声かけなど、子どもが安心して帰宅できる環境づくりが進んでいます。地域のシニアサポーター制度など地域ぐるみの取り組みが子どもの安全を守ります。
習いごとや塾
下校後にそのまま習いごとや塾に通うことで、放課後を有意義に使うことができます。スポーツクラブ、ピアノ教室、英会話など、子どもの興味に合わせて選びましょう。送迎サービスがあると安心です。
家庭でのルールづくり
留守番のときのルールを決めたり、防犯対策をしっかりと行うことも大切です。近所の友だちと遊ぶときの約束事を話し合っておくと安心です。
放課後対策の課題と対策
課題：
- 学童保育の待機児童問題
- 運営スタッフの人手不足
- 子ども一人ひとりの多様なニーズ
今後の対策：
- これからの対策
- ICT（タブレット学習、オンライン見守り）の活用
- 地域と学校の連携強化
- 異年齢の子どもたちが交流できる居場所づくり
また、特に夏休みなどの長期休暇対策は、早めに計画を立てることが重要です。サマースクールやキャンプなどの特別プログラムも視野に入れましょう。
小1の壁を乗り越えるためのステップバイステップガイド
「小1の壁」を乗り越えるためには、計画的な準備が欠かせません。
以下のステップを参考にしてください。
- 入学1年前からの準備
- 学童保育の情報収集と申込時期の確認
- 職場での制度確認と上司への相談
- 入学半年前
- 学区内の他の親との交流開始
- 送迎サポートの確保（ファミサポ登録など）
- 入学3ヶ月前
- 子どもの生活リズム調整
- 登下校ルートの確認と練習
- 入学直前
- 緊急時の対応プランの確認
- 子どもとの約束事の確認（鍵の管理、連絡方法など）
- 入学後
- 定期的な振り返りと調整
- 親同士のネットワーク構築
何より大切なのは、「完璧を目指さない」という心構えです。試行錯誤しながら、子どもと一緒に成長していく姿勢が結果的にスムーズな適応につながります。
小1の壁と小4の壁の違いを知っておこう
「小1の壁」についてはよく聞きますが、実は「小4の壁」というものも存在します。これらの違いを理解しておくことで、長期的な計画が立てやすくなります。
「小1の壁」は入学直後の環境変化による問題が中心ですが、「小4の壁」は学童保育の利用制限（多くの自治体では小学3年生まで優先）や、習い事、部活動の本格化、思春期の入り口による新たな課題が発生します。
以下に小1の壁と小4の壁の主な違いをまとめました。
| 内容 | 小1の壁 | 小4の壁 |
|---|---|---|
| 主な要因 | 保育園と小学校の違い、学童保育の問題 | 学童保育の優先利用終了、習い事・部活開始 |
| 下校時間 | 早い（午後2〜3時頃） | より時間割が複雑に |
| 子どもの変化 | 環境適応が必要 | 思春期の入り口、自我の成長 |
| 親の対応 | 送迎や放課後の対応 | 心理面でのサポートも必要に |
おわりに – 小1の壁は成長の機会
「小1の壁」は確かに大変ですが、この時期を乗り越えることで親子ともに大きく成長できる機会でもあります。子どもの自立を促す良いきっかけとなり、働き方を見直すことで新たなキャリアの可能性が広がることもあります。
一人で抱え込まず、パートナーや職場、地域のサポートを上手に活用しながら、この時期を乗り切っていきましょう。皆さんの「小1の壁」突破を心から応援しています！
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